真似とかパクりとか盗作とか

ぼくがニャロメの絵を描いて送った年賀状に、友は「今週の第1位 涙のくちづけ、第2位 カム・トゥゲザー……」などと書き連ねて返してきた。なんのことだかよくわからないながらも、妙に差をつけられたような気がしたそんな1970年。ぼくが深夜のラジオ放送を聞き始めたのはその年の、中2になろうかという春休みのことだった。

まだ洋楽にはさして興味がなかったのか、ショッキング・ブルーの「ヴィーナス」だけがその時の記憶として残っている。同じ頃にチャートに上がっていたはずの「マルタ島の砂」や「雨にぬれても」などについては、もう少し後になって知ったような気がする。まー、インパクトとしては妥当ではあるな。

その程度のことであったから、自分でレコードを買ってでも聴きたいという思いはまだなく、もっぱらそれは友だちに借りるものであった。クリスティーの「イエロー・リバー」だったり、シカゴの「長い夜」だったり、あとシルヴィ・バルタンの「悲しみの兵士」だったり。

どれもサト坊に借りた。彼抜きでぼくの中学時代は語れない。この先も、何度でも彼は出てくる。いつまでもぼくは話す。どこまでもぼくは彼と一緒だ。

話は戻って、というような洋楽体験を持つぼくであるから、というか、そうでなくとも、もう四半世紀も前の話ではあるが、モーニング娘。の「LOVEマシーン」が「ヴィーナス」を下敷きにしていることは即座にわかった。インスパイアされたというか、真似してみたとか、パクったとか、まー、言い方はいろいろ。

ところがだ。インスパイアとかパクりだとか盗作だとか、そんなレベルをはるかに超えて、これはもうただの替え歌でしょうと言いたくなるのだ。これを聴くと「ヴィーナス」が。おまえ、本家とちゃうかったんかい。

The Banjo Song

真ん中の女性は、後にママス&パパスに参加するキャス・エリオット。大ヒット「夢のカリフォルニア」は65年の曲だそうだが、ぼくの中学時代にもさんざん流れた。レコード・ジャケットもよく覚えている。多感な中学生の目は、もうひとりの女性歌手にばかり行っていたが。

そんな「夢のカリフォルニア」が、先日観終えた韓流ドラマ「Mr.プランクトン」のエンディング・テーマとして使われていた。色あせない名曲であるなと改めて思った次第。パクりでも替え歌でも、「ヴィーナス」にがっかりしたりはしないぼくの、極めて個人的な感想です。