パソコン通信。
それを始めるためには、まずモデムを買ってこなければならなかった。
別途、通信ソフトも必要だった。
90年代初め、パソコン界隈はフレンドリーでは全然なかった。
エンジニア連中が書いたと思しきマニュアルも、日本語としてどうなのというレベルで、なにを言ってるんだか意味不明という代物が多かった。わかっている者同士の会話か? わからない者にわからせるのがマニュアルだろうと、読むたびぼくは憤り、そして疲労困憊しておった。
そうしてたどり着いたのがパソコン通信大手、ニフティーサーブ。会員数が30万余とかいっていた時期。フォーラムと呼ばれる趣味や話題のコミュニティーが数多く存在し、ぼくはすぐに音楽フォーラムとゲームフォーラムに居ついた。
音楽フォーラムでは中華をはじめとするアジアのポップス、あるいは日本や欧米のロックについて熱く、時には一触即発状態になりながら語りに語った。ゲームフォーラムでは、FF4特設会議室で大いに燃えた。それでほとんど燃え尽きた。
Windows95の出現でインターネットが普及し始めると、パソコン通信はみるみる廃れていった。フォーラムをWEB上に移行させようという動きもあったが、実を結ぶことはなく、ニフティーサーブは資産を生かせず、2ちゃんねるにもミクシィにもなれなかった。ネットでの居場所をぼくは失った。
しかし、お気に入りがやがてできた。いわれれば深田恭子に見えなくもないおちゃめな女性が、どこまで本気でどこから冗談なのかわからない愉快なホームページを作っていた。「花を踏む」。ネーミングにぐっときた。同じタイトルの曲が今あるが、それよりうんとずっと前。
そこの掲示板に入り浸っているうちに、リンクなるものをしてみたくなってきた。真っ先に偽深キョンとこにリンクする。あわよくば相互リンクしてもらう。オトモダチの証拠。うひひ。想像しただけで頬が緩んでしまったが、そのためにはまず自分のサイトを持たねばならない。そんな不純な動機のもとに生まれたのが我がサイト。
2001年暮れにでっち上げられたこのサイトは、幸いなことに偽深キョンをはじめ彼女の掲示板の常連が訪れてくれたり、なぜかあっという間に職場バレして同僚がやってきたりと、しばしの賑わいをみせもした。しかし、WEB空間の栄枯盛衰。時代はホームページからブログ、SNS。24年の時を経て、なぜかそこは閉鎖されることもなく、廃墟と化したまま放置されていたりする。
奈緒のように小首をかしげ、なんとかならんのかと言ってみる。なんとかしたいものである。現在かろうじて生きているブログだとかの、総合案内所程度にはしておきたい。が、ホームページのいじり方を、ほとんど忘れている。うむー。
てなわけで、後日後編。