ちょ、マジっすか

なぜそんなことになってしまったのか、実は今もよくわからない。
始まりは、映画チケットの売出し時間を尋ねる息子からのLINEだった。

「映画観るっていってんだけど」という文面から、それは彼の妻、レミちゃんのことだと知れた。彼女の好みは知っていたので、この時期の映画というなら「コナン?」と訊くと、「さすが。親父も行く?」ときたもんだ。

いや、ぼくは「コナン」を観たいとは思わない。てか、テレビでだってろくに「コナン」なんて観たことない。チビッ子探偵が主役で、メインテーマが「太陽にほえろ」のアニメという認識しかない。まー、世代的には当然の印象かと。

だもんで、即座に「行かない行かない(笑)」と返事した。したらば、ヤツはこう言うのだ。「なんで、せっかくレミさんとふたりでデートできるのに?」

なんなん? これを無下に断わるのは、親子とはいえども失礼にあたったりもするのだろうか。レミさんに対しても。「……い、行こうかな」と返事したのは、だから、一応の配慮を見せたつもりではあった。

話はしかし、それで「ははは」てな感じでは終わらなかった。翌日の夜になって「〇日〇時の回取ります。予定空けといて」と来たのに、え、本気だったんすかと少なからず驚いたぼくは、思いをうまく表現することばが見つからず、「紙兎ロペ」のスタンプでお茶を濁した。

しばらくして息子、「2枚取ったよ。行かないなら最悪俺行くけど」。最悪ってなんだよ。てか、なんなん? ウソから出たマコト? 瓢箪から駒? ケガの功名? いや、誰もケガしてないし。

ここに至って、息子の本気をぼくも疑えなくなった。というか、これを断ったら最悪なわけだ。ぼくがレミさんを大いに気に入っていることを知っている息子は、彼女の隣に2時間座っていられる権利を与えてくれたのだろう。

ぼくは答えた。「よろこんで参ります」
息子は言った。「うむ!」
はは、なにをえらそうに。

というわけで、義理の父と息子の嫁とがふたりで映画に行ってきた。胸の前で手を振りながら小走りにやって来る息子の嫁が、義理の父には可愛く思えてしかたがない。誰か知っている人に会わないかとさえ思う。娘です、と胸を張って紹介したい気持ちでいっぱいなのだ。

ところで、今回のカテゴリーは「映画」ではないだろう。では「日常」か。つうか、こんなブログのカテゴリー分けにはたして意味などありやなしや。