今になって語る先週土曜日の話。
5月3日、小田原。北條五代祭り。
武者行列は昨年十分堪能したので、今年はそんなパレードコースから外れた通りで、コアなファンだけを相手にしているような「えっさホイおどり」が目的。
それでなくても、今ぼくの頭の中は「よさこい」のことで一杯なのだ。去年の教訓で、折りたたみ椅子も用意した。もうやる気満々だ。通りすがりに眺めるのではなく、じっくり腰を据えて楽しむ気。
とはいえ今回はおまけのような小さなイベントなので、出場チームも少なく時間も短かった。しかし、そのぶん間近で、しかも1チーム2度の演舞をじっくり見ることができたのだった。
当初、正面最前列に陣取っていたのは子供チームの父兄たちだったらしい。子供らの出番が終わると、早々に応援団は散っていった。だもんで、ぼくは願ってもない場所で、目当ての「よさこい魂 和」を見ることになった。
「和」と書いて「あい」と読む。熱苦しい魂を込めて踊るという。山北よさこいで初めて見て、すっかり贔屓になってしまった。終始笑顔のフロントのふたりがとてもいい。
この1年、よさこいを生で見たりネットで見たりして、いくつか気づいたことがある。個であることを消し集団行動のように動くチーム。手のこんだ衣装で度肝を抜いてくるチーム。この二つが重なると、その見応えはすさまじい。声もなく見入ってしまう。思わず後ずさりしてしまうほどに。
「よさこい魂 和」は、しかし、そのどちらでもない。人数も少なく、衣装もそこまでお金はかかっていないようだ。なにより一糸乱れぬ踊りではない。ただ、ものすごく楽しそうだ。実際楽しんでいる。うれしそうだ。実際うれしがっている。踊れることを。それが伝わる。こちらも楽しくなってくる。うれしくもなってくる。こういうのがぼくは好きだ。
来月は、湘南よさこい祭り。
「和」だけでなく、「舞友伝」もやって来る。「なるたか」も「疾風乱舞」も来る。「躍動」、「猿楽」だって見たい。北條祭りでぐっときた「聯」もまた見たい。
全部で4時間。大丈夫。折りたたみ椅子がある。