ジムでの有酸素運動用のプレイリストをいくつか用意している。
ジョギングに特化させたのが5つあって、日本の曲ばかり集めたもの、中華ポップばかりのもの、K-popばかりのもの、ナッシュビル系で固めたもの、そして欧米ロック中心のその名も「jog-best」という極めつき。最後のこれを聴きながら走ることが一番多い。
33曲入っているなかで最も新しいのはデュア・リパの「イリュージョン」。適宜アップデイトしているので、旬な曲だってしっかり入っている。そして、一番古い曲はといえば、ブラック・サバスの「パラノイド」だったりするわけだ。ツェッペリンやパープルはどうしたという疑問があるかもしれないが、彼らについては個別のプレイリストを作っているので、ジョギング枠からは外れてしまうのだ。
というわけで「パラノイド」。初めて聴いたのは14歳の冬。前年暮れから洋楽レコードを買うようになっていたが、このシングル盤を買ったのは年明けだったと記憶している。イントロからもう痺れた。ノリノリだ。なにしたって、これ聴きながらじゃはかどるに決まってる。そんな感じ。今に至ってなお、そうだ。50年以上にわたって、ぼくは進歩のない奴かもしれん。
「パラノイド」にはぞっこんだったが、しかし、ブラック・サバスというバンドにぼくはたいして興味がなかった。高1の時、彼らのデビュー・アルバム『黒い安息日』を従兄弟から譲られたのだが、「パラノイド」風なノリは全然なくて、タイトルやジャケットが示す通りの、やたらおどろおどろしい作品だった。
といいつつ、初めて買ったバンドTシャツは彼らのだった。頭巾を被った骸骨が鎌を持っているの図。趣味悪。まー、喜んで着てましたわ、当時は。わはは。あと、大学に入ってから4枚目も5枚目も買ったな。CDはベスト1枚ですませたけど。
ところで、ぼくは長らくパラノイドとは偏執狂のことであろと思っていたが、それはパラノイア。パラノイドは疑心暗鬼とか被害妄想とかいった意味らしい。あのやたら威勢のいい曲は、彼女と別れてつまらないことばかり考えてしまう、うじうじした男の歌だったわけだ。それ聴きながら気分よく走っているのがワタシ。
というような話をジムで知り合った若い人相手にすると、「サバス? プロテイン? ザバスじゃないの?」などと言われてしまいそうな気がするのだがどうか。