祖父は悲しくないふりをする

月に一度の韓国語講座。
いつも使っている東戸塚地区センター、ただいま改修工事中につき、バスで4つ先にある今井地区センターでの開講。ここはもう保土ケ谷区。こんなことでもなければ、けっして足を向けることのない保土ケ谷区。

授業の最初、テキストに入る前にまず近況なんぞを話すことになっている。前夜のうちに考えておくのが常なのだが、今回に限って忘れていた。日本語でならその場でいくらでも話せるが、韓国語となるとそうはいかない。行きの車内で考える。というか、でっち上げる。

「最近、孫が人見知りをするようになりました。不思議そうに私の顔をじっと見て、そして泣くんですよ。私はとても悲しいです」

話の筋としてはこれでいい。問題は、即座に「人見知り」が出てこないことである。で、翻訳アプリの登場。近年は「papago」一択。ああ、「낯을 가리다」。前にもやったな、これ確か。どう活用させるかを、つらつら考えながら過ごす車中。

そうしてたどり着く東戸塚。ここに来るといつも思う。なぜにここはいつも寒いのか。特に駅のホーム。寒すぎでしょ。よそと比べて3℃、4℃は絶対低い。ホームが谷底のような所にあるからか。暖かい空気がみんな上に逃げてるからか。

それはともあれ、ぼくが韓国語ででっち上げた孫話は事実である。悲しいことだが本当だ。初対面でも女の人相手なら笑うくせに、知ってるはずのぼくを見てはひくひくぎゃんぎゃん泣くのである。くっそー。知ってるうちには入らないのか。まー、しょうがない、そんな時期さと、まるで悲しくないふりを家族の前で祖父はする。

ところで、前回、鎌倉紅谷の話をしたなんとその日に、テレ東の「アド街ック天国」で鎌倉雪ノ下が取り上げられていたではないか。ランキングの9位として紹介された鎌倉紅谷について、クルミッ子の切り落としの入手しづらさにも触れられていた。

開店前から並ばないと買えない。たやすく手には入らない。それって、だから、凄いのか? だからダメなんだとぼくは思う。遠方から来た人、修学旅行の中高生、そんな人たちが鎌倉観光を楽しんだ後、ふらりと寄って買えてこその鎌倉土産じゃないのか。豊島屋が、鳩サブレーが素晴らしいのはまさにそこだ。

とまぁ、豊島屋を素通りしても紅谷には立ち寄るおまえが言うなという話である。