先月にも行った鎌倉へ今月も。というと1ヶ月ぶりのようでもあるが、実のところたった2週間ぶりでまたも立ち寄ることになったのは、前回自分たちのために置石で買ったウィンナーワッフルがあまりにも美味だったので、これをぜひにレミちゃんへのお返しにと思ったのだった。ホワイトデーも近いので。
そのためだけに出かけ、それだけ買ったらデンついて帰るつもりなのでひとりで行く。めざす置石は、現在修復中の鳥居のすぐ横だ。てか、「デンついて帰る」ははたして万人に通じるのや否や。子供の頃は、鬼ごっこなどでも「デンする」とよく言っていたものだ。「あっちゃん、デーン」とか。
にわかにここで思い出す。あっちゃん。彼女はなおちゃんと双子で、鬼ごっこの際には難儀した。なぜ双子は同じ服を着る。いや、もう、話がどこに向かっているのかわからない。
方言ついでに、もうひとつ。丹後出身の母親に大阪で育てられたうちのマダムによると、関西ではお菓子のことを「おかしん」ともいうのだと。北九州出身の母親に兵庫県で育てられたぼくにはまったく聞き覚えのないことばであった。検索しても出てこない。それどころか、こんなん出ました。「先生、この人おかしんです」。
というわけで、置石での買い物、いくら美味とはいえウィンナーワッフルだけではアレなのでもう一品買って、これを娘(息子の嫁ともいう)へのプレゼントとする。マダムは太りたくないので何もくれるなという。とりあえず真に受けて、今回ここでは何も買わずに帰る。
帰り道、職場から電話。実は行き道でも鳴っていた。バイト先である駐輪場は、自宅最寄り駅の線路の向こう。駅からは目と鼻の先、徒歩1分。出先から電話をかけ直すよりも、帰りに寄った方が話はたぶん早い。ま、電話嫌いにとって気は楽。
したらば、ぼくに来客があったのだと。前日にお金を貸していた人だった。といっても、うちの駐輪場のお客さんではなく、近所の無人駐輪場のお客さん。近頃は現金を持ち歩かない人も多く、彼女もそんなひとりだった。無人駐輪場では埒が明かず、有人のうちに助けを求めてやって来たのだ。
こんなケースはちょくちょくある。お金を払ったのに自転車を引き出すことができないだとか、両替えをしてくれだとか。よその駐輪場のことなのでかかわるべきではないという意見もあるが、暇ならぼくは助けを出す。次はうちを利用してくれろと言うのを忘れずに。営業活動ですやん。
今回はお金を貸したそのお礼に、お茶とお菓子の差し入れがあったというわけだ。あいや、それって借りた額より高くついてますやん。いただいたのは賞味期限の短い生菓子で、ぼくはといえば、この日、次の日と連休。なので、早く持って帰らせようという職場からの電話だったのだ。やー、なんかいろいろ小さな喜び。
翌日、ジムにて。以前から存在だけは認めていた、わりとガチなトレーニングをしている若い女性と、初めてばっちり目が合った。マシンの空きを探してきょろった刹那、知らん顔をする方がむしろ不自然。首を傾げてアイコンタクト。すると、想像だにしなかった笑顔で応えてくれた。
トレーニング中の厳しい表情しか知らなかった。ものの数分でぼくが終えてしまうマシンに、10分近く居座り汗を流しているような人だった。こんなにもにっこり笑えるのだなぁ、こんなにも可愛い人だったのなぁと、大いに意外で少しうれしくもあった。
こうした小さな重なりがぼくに言わせる。
さぁ、今日も楽しいぞ。