3回書いたら飽きがきた。だもんで、間が開いてしまったが、気を取り直し。
カメラと写真にまつわる第4回。なにを今さらと言うなかれ。
2007年の暮れ、新たなデジイチを手に入れた。オリンパスのE-3。
当時としては世界最速のオートフォーカス。だったらしいが、それが本当に速いんだかどうだかなんて、ぼくにはまるでわからない。まー、こんなもんなんだろうなと思うしかない。まさに猫に小判状態。それよりうれしかったのは、E-330では上下のみ可動のチルト式液晶だったのが、バリアングルに進化していたことだった。
オリンパスのフラッグシップ機であったこのE-3は、テレビCMも流れていた。今や猫写真ですっかりおなじみの写真家、岩合さんがアフリカでゾウだのライオンだの撮っている。見る人が見れば、それだけで十分な訴求力があったことだろう。しかしぼくは全然ちがう部分に惹かれていた。BGMだ。アフリカンビートにのったコーラス曲。調べてみたらば、上野洋子の作品だと。知ってる、ザバダックにいたあの人。「満ち潮の夜」とか大好きだった。いやー、カメラのCM見て、なにに感動しているんだか。
今も残っている2008年に撮った写真は13000枚ほど。うち、猫を撮ったものが11000枚強。マダムと何度か小旅行した記録が1000枚弱。空と海とも1000枚弱。これが多いんだか少ないんだかはわからないが、いささか妙な配分ではあるなと思う。さすがのマダムも猫には勝てない。
カメラ雑誌にもよく目を通していた。にわかに興味を持った世界だったので教えられることは多かったが、1年もたつと同じことが繰り返されているのに気づく。いわく、桜の撮り方、おすすめレンズ。シャッター速度と絞りについて。ボケについて、構図について。富士を撮る、鉄道を撮る、紅葉を撮る。これらの間に新製品情報だの、名機対決だのを挟んでくる。2年は続けて読んでられない。そして、気づいたもうひとつ。写真の意図だの狙いだの、べつに語ってほしくない。
この間、徐々に増えてきたレンズについては言及しない。実はあんまり関心ない。というか、いつ手に入れたとか、何本あるかとか、何ミリだとか、確認するのが面倒くさい。とはいいながら、撮り歩きに出かける際はなにがしかの交換レンズを持って出るのが、この頃はまだ常だった。異なる画角を試してみたい、写りのちがいを見てみたい。だからちょくちょく買い足してはいたのだ。
しかし、出先でレンズ交換するのはなにかと手間だ。主な撮影場所は海岸だったので、いくらオリンパスのダストリダクションが優れているとはいえ、砂まじりの風が吹くなかでのレンズ交換にはいささか抵抗もあった。だったら、カメラ2台持って出りゃいいじゃん、異なるレンズ付けて。そんな考えにたどり着くまで、さして時間はかからなかった。いわゆるサブ機というやつの登場だ。
で、2009年にやって来たのがE-620。E-3より小さく軽く、アートフィルターなんつうお遊び的要素も付いている。RAWで撮っておけば後からどうとでもなる加工を、カメラ本体でやってやろうじゃないのという作戦。RAW撮りをしないぼくにはおもしろそうな機能。実際、ファンタジックフォーカスはしばしば使ったものだった。ま、一時期。
ともあれ、望遠と単焦点レンズを付けたカメラ2台を抱え、時にはさらにもう1本のレンズまで携えて、猫を求めていそいそ歩き回る日々を、ぼくはしばらく送るのだった。