浜松の仇を横浜で

お花見の季節に何度か三島大社に行ったことがある。
何度かというのは正確には3回だが。
3回ともなると、JR三島駅から歩いてでも行ける大社まで
たまには伊豆箱根鉄道を使ってみようかということになる。
駿豆線というやつだ。すんずせん。

で、JRでも駿豆線でもここいらで電車に乗っている時にしばしば見かけたのが
遠鉄百貨店の紙袋なのだった。
遠鉄百貨店。なんだそれは。どこにあるんだ。
調べてみたらば浜松だった。浜松にしかなかった。
ほう。伊豆の人はデパートといえばそこまで行くのか。
小田原ではだめなのか。

この時以来、遠鉄百貨店は機会があれば行ってみたい場所になっていた。
横浜そごう、東京駅大丸をフランチャイズにしているぼくがだで。
伊勢丹メンズ館にだって行ってしまうぼくがだで。
行ってもきっとがっかりするだけなのに。

というわけで浜松だ。
行こう行こうと思っているうちに大河ドラマの舞台となってしまい、
ブームに乗せられているようでイヤだなと思いつつも行かんと思ふ。
現地で調達する気満々、着替えも持たずに行かんとぞ思ふ。

そんな意気込みに応えるかのように、
浜名湖に遊び、舘山寺で腹を満たして浜松に戻った夕、
遠鉄百貨店エポカ・ウォモにてイチ推しコートが目に飛び込んだ。
や。これは。染め方が。色合いが。素晴らしすぎる。
横でマダムも大いにそそのかすようなことを言う。
しかしながら高い。ボーナス月でもないのに。旅先なのに。

一夜明けてもまだ気になっていた。
というか、さらに欲しくなっている。
思いのほか時間をつぶせなかった浜松城からの帰り、再び遠鉄百貨店。
試着する気でサイズを告げると、2色あるうちのネイビーしかないという。
いや、表に出ているカーキがぼくは欲しいんだ。
試着だけでもといわれても、買わないことがわかっていてそれはできない。
取り寄せますといわれても、旅先なので地元で探すとこれも断る。

そして、旅から戻って1週間。やっぱりまだ欲しかった。
エポカは横浜にだってある。ので、あっさりゲット。
ただし、遠鉄のようにイチ推しアイテムではなかったので、
なにも知らずに出かけていたらきっと目にはとまっていなかった。
その意味では、浜松まで出かけて余計な物を見てしまったというか、
遠鉄百貨店もなかなかどうして侮れませんなというか。