この夏、青春18きっぷを使って関西からはるばる訪ねて来てくれたキタ君が言っていた。「途中の真鶴(まなづる)や大磯では車窓から海が見えた。まるこめ君の街もこんないい所なんだろうかと思った」と。あいにくウチの駅は大磯ほど海に近くもなく、真鶴ほどの海抜もない。すまんね、車窓から海は見えんのよ。
というわけで、キタ君のお気にも召したその真鶴へと行って来た。JRだと小田原から西へ3駅。なにをしにかというと、よさこい見に。正式名称「真鶴よさこい大漁フェスティバル」。漁港にて、大漁旗を背に、岸壁に浮かべた台船の上で行われる。
19回目になる今年は23チームが出場。会場が複数あるような大きなイベントではないので、あちこち移動しなくていいのはありがたい。全チームの流し踊りと定点演舞を、ほとんどその場で堪能できた。楽しいなぁ、よさこい。楽しいよ。つうか、まったく胸が熱くなる。

とはいっても、堂々と禁止エリアに座ったジサマには閉口した。用意された席に空きができたら、ふつうは素直にそこに座るもの。ところがこのジサマときたら、そのパイプ椅子をテープで示された禁止エリアに移動させて座る。さらにもうひとつ持ってきて、そこに座れと遠慮している連れに言う。これにはスタッフも見て見ぬふり。
あいや、スタッフだけでなく、気の弱いぼくも同様だった。いきなり斜め前に鎮座され、大いに撮影に支障をきたしてしまったのだが、いかにも話の通じなさそうなジサマを相手にしたくはなかった。禁止エリアのちょうど向こうの端が空いていたので、すかさず移動。観覧も撮影も、中断時間は最少に。
定点演舞終了後、ぼくのもとに謝罪に訪れたのは、ジサマの連れの人だった。いや、あんたに謝られても。つうか、あんな人の相手をするのも大変ですな。お察しします。実はあんまりかかわりたくないオーラ出てたのも知ってます。まー、いろんな人いて、いろんなことありますわ。でも、よさこい楽しかったすよね。それでよろし。もちろん、このすべてを言ったりしない。口にしたのは最後だけ。
というわけで演舞だけ全部見て、フラフショーだの表彰式だの総踊りだのは見ずに帰途についた。総踊りが楽しいのは承知しているが、この時期のこの時間、寒くなるのも暗くなるのも嫌なので。あと、フラフショーというのは早い話、チームごとの旗振り合戦。チームの大きな旗をフラフといい、それを振る人を旗士と呼ぶ。フラッグではないんですな。ただのフラでもないんですな。いろいろ誤解を招きそうです。知らんけど。

毎週のようにどこかしらで行われているよさこい。ここいらでは、次は二宮で小規模なイベントがあるようだ。菜の花で有名な吾妻山公園があるあの二宮。参加チームのほとんどは地元チーム、キッズチームのようだが、贔屓の「疾風乱舞」と「聯」も出る。そりゃあ行くさー。
さらに次の週には、今年初めて開かれる神奈川よさこい。小田急沿線5会場、83チームが参加するという大規模な催し。厚木のメイン会場に巨大ステージを作るというクラウドファンディングをぼくもわずかながら支援したが、残念ながら目標額には至らなかった。これがおそらく今年最後のよさこいになりそうだ。
とまぁこんな調子であるから、ぼくの頭の中はよさこいしかないように家庭内では思われている。そんなことはないんだが。最近は、しばらく念頭になかったレンズのことをよく考えていたりする。もっと明るいのが欲しいとか、もっと望遠が欲しいとか。
それもこれもよさこいを撮るためであるから、まー、頭の中のかなりの部分がよさこいであることは認めよう。しかし他にも、孫のことも娘のこともぐふふと考えているし、あとはそうさな、息子が貸してくれた「ドラクエ3」を始めたので、次はどこ行って何するんだっけと考えていたりする。

平和であることだけは確かである。


