中華街で逢いましょう

小学校の卒業アルバムを2冊持っている。
ひとつは兵庫、ひとつは大阪の学校のもので、その両方にぼくは写っていたりする。
妙な時期に転校してしまったせいである。

すでに撮影がすんでいた所から転校した先では、まさにこれから撮影だった。
もしこれが逆だったら、どちらのアルバムにもぼくは写っていなかっただろう。
そういう意味では、絶妙な時期の転校だったともいえる。

その2校めの小学校の同窓会の幹事連中が、横浜で忘年会をするといってきた。
なんだそれは。なんで横浜。
尋ねてみると、ぬけぬけとぼくに会うためだというではないか。
改めていうが、ぼくがこの小学校に在籍したのは5ヶ月にも満たない。
しかも小中高から大学に至るまで、同窓会なるものにはまったく参加したことがない。

だが、2、3ヶ月も前から来るようにぜひ来るようにと釘刺され、
逐一旅程を報告されてしまうと、むしろ断る方にこそエネルギーが必要となってくる。
はいはいわかりましたと言ってる方がはるかに楽なのだった。

11時に桜木町といわれて出て行くと、横浜を前にしたあたりで中華街に変更との連絡。
お上りさんみたいな連中と日曜日の中華街?
オーノー、無謀。それは簡単には遭遇できませんぜ。
ブータレながらみなとみらい線に乗り換え、着いた後は電話で連絡とりながらの移動。

しかし、よし今日は関帝廟に行こうと思って関帝廟に行ったことなど一度もなく、
ふらふら歩いていたらそこを通りがかるというのが常。
関帝廟にしてからがこうなので、他の場所なんかいくらいわれたって用をなさない。
あのな、通りの名前なんかいちいち覚えていませんて。

やっと邂逅できた頃、ぼくの機嫌はすっかり悪くなっていた。