キンモクセイが香りだすと誕生日がやってくる。誰の? ぼくとマダムの。
ふたりの誕生日は4日しかちがわないので、合間に一緒に祝ってもらうのがこの数年の常になっている。誰に祝ってもらうのかというと、息子夫婦にである。まー、それしかないわな。ちなみに、娘(嫁ともいう)と息子は11日ちがいで、これもだいたいまとめられてしまう。
さて、今年の神無月。4月生まれのキン坊のハーフバースデーということもあり、つうか、そちらがメインなようも気もしなくはないが、娘手作りの韓国料理が並ぶ、なかなか豪勢なパーティーとなった。しかし、ハーフバースデーなんてのはいつのまに祝われるようになったのだろう。ハロウィンや恵方巻きのように、仕掛けた側の思うツボではないか。連中はほくそ笑んでいることだろう。
話は変わって、隣街で観た映画「侍タイムスリッパー」が、とうとう我が街にもやって来た。しかも1日3回ある。公開前は観に行くつもりだった三谷幸喜の「スオミの話をしよう」は、早くも1日1回になってしまったというのに。「有頂天ホテル」がぼくにはまったく面白くなかったことを思い出さずにはいられない。
誕生月なのでお安くしときますぜという案内が別の映画館から届いているのだが、そこでは特に観たいものがない。ハコがたくさんあるんだから、一番小さなひとつはミニシアター系をやってほしいものである。今週末から始まる「八犬伝」で手を打っておこうかともちょっと思う。
またも話は変わって、ディズニー・プラスを解約したらネットフリックスに戻ろうと思っていたのだが、先延ばしになったままアマゾンプライムでの視聴が続いている。最近、観終えたのはシン・ミナの「損するのは嫌だから」。思えば、韓国ドラマを観始めたごく初期に注目した中のひとりが彼女だった。当時、話題だった「僕の彼女は九尾狐」で。いい感じに歳を重ねているなぁと思う。というか、若い。「海街チャチャチャ」でも素敵だった。
再放送中の「善徳女王」も続けて観ている。と韓国語教室で言ったら大いに笑われた。だろうなぁ。どんだけ昔なんだよと自分でも思うし。当然ながら、出てくる皆が若い。少女時代しか演じないなんてもったいなさすぎと当時から思っていたシン・セギョン。しゅっとしているチュ・サンウク。ちょい役でしかないチン・ギョン。そして、パク・ウンビンまで出てくる。長らく韓国ドラマを観ている者ならにやにやして当然の2009年作品。
というわけで、話題は再びキンモクセイ。
香りだして初めて、ウチの門柱横にあるのがキンモクセイだったと知ったのは、かなり間抜けな話だった。散った後の始末をマダムが面倒がるようになり、小さく短く剪定しているうちに、やがて咲かなくなってしまい、ついには枯れた。かなり残念な話だが、枯れたまま立つその幹には、飼い猫が爪研ぎをした跡がいっそう深くなって残っている。見るにつけ切なくなる爪痕である。