ジムのBGMがあたかも懐メロチャンネルの如くになってしまったことは前にも書いた。レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」やキッスの「デトロイト・ロック・シティ」 などが聞こえてくると、まー、確かにやる気は出る。実際、これらは個人的に用意しているジョギング用プレイリストにも入っている。
ところが先日、入館したとたんに流れてきたのはPPMの「500マイル」だった。なんだここは。葬儀場か。今夜お通夜か。故人が好きだった曲なのか。「悲惨な戦争」が流れた時にも思ったが、ジムとしてこの選曲はどうか。PPMなら、せめて「パフ」にしてくれないか。
いや、確かにPPM、ピーター・ポール&マリーは、ぼくの洋楽体験のほとんど最初に登場するのだが。「虹と共に消えた恋」で。もちろん、当時はそれがPPMの曲だとは知らなかった。「ザ・ヒットパレード」で誰かがカバーしていたのを聞き覚えていただけだった。
長じて「悲惨な戦争」も「500マイル」も知るところとなり、いたく感銘を受けたものである。ついでにいうと、岡林信康の「手紙」にも「チューリップのアップリケ」にも、それはそれは心を震わせた。その手の曲を嫌悪しているわけでは、きっしてないのだ。しかし、それをジムで聴きたいかと問われたら断じてノーだ。辛気臭い。臭すぎる。
というわけで、筋トレ中には館内BGMに甘んじているぼくだが、1時間強の有酸素運動時には何を聴いているかと、それはもう威勢のいい曲に決まっている。特にジョギング用には、日本、韓国、中華、洋楽、ナッシュビル(カントリーというよりも)系の5種のプレイリストを作っている。
最も再生回数が多いのがダフト・パンクの「Give Life Back to Music」。イントロから気分が上がるし、世界最高峰のリズム・ギターは心地よく走るのにぴったりだ。あと、インタラプターズ、オフスプリングも上位にいる。懐かしいところというか、ちょっと恥ずかしいところでは、レインボーの「キル・ザ・キング」。
いやー、ギター・ソロだけならば、ぼかぁ、デヴィッド・ギルモアやトム・ヴァーレインの方がずっと好きなんですが、ピンク・フロイドやテレヴィジョンを聴きながら走ったりはできませんって。やっぱここはリッチー・ブラックモアでしょう。てか、なんでここだけていねい語。
というのは、やはりちょっと恥ずかしいわけですわ。今さら「キル・ザ・キング」つうのも。なんつうか、レインボーよりディープ・パープル、ディープ・パープルよりレッド・ツェッペリン。が上? みたいな呪縛? そう言っておいた方が通ぶれるみたいな?
ああ、面倒くさっ。「グランドファンクの方がツェッペリンよりずっと好きやわ」て大きな声で言うたらええわ。


