街で見かける、というかウチのキン坊もそれに乗せられている、保育園などで子供たちを乗せる大型のベビーカー、これの正式名称はいったいなんというのだろうかと、ふと疑問に思ったのだった。
「ひよこカー」と、我が家では呼んでいた。キン坊が乗せられているその側面に、ひよこのイラストが描かれていたからだ。
疑問はチャッピーに訊いてみる。チャッピーといえば、ぼくらの世代では「宇宙少年ソラン」の相棒であるリスを真っ先に思い出すはずで、「さぁ行くぞチャッピー」などと口ずさんでしまうにちがいないのだが、最近では例のChatGPTの愛称として広く使われているようだ。
そのチャッピーによると、件のベビーカーは一般に「お散歩カー」と呼ばれているという。他には大型乳母車、避難車、多人数用ベビーカーといった表記もあるそうだ。用途によっても変わるのだろう。
これこれこういう理由でウチではひよこカーと呼んでいると言うと、「かわいい呼び名ですね。すごく分かります。呼びやすいし楽しく使えますよね。ほっこりするお話をありがとうございます」などと妙に人間くさい返事をするチャッピー。ハマる人がいるのもわかる。
と、そんなひよこカー、もとい、お散歩カーに乗ったキン坊と思いがけない遭遇を果たした。祖父は大いに喜び足を止め、先生方に挨拶し、「キン坊、つんつん」などとつついてみるも、当の本人はきょとんとしている。外では即座に祖父を認識できないようだ。つまんねーやつだなーとチコちゃん状態の祖父に、隣の愛想のいい子がハイタッチをしてくれた。
それを見てか、あるいはようやく祖父であることに気づいたからか、キン坊もハイタッチをしてくれたのはいいのだが、それをしながら「バーバイ」などと言う。え、なんで。わかったからもう帰れって? つまんねーやつだなー。
というのは嘘で、出勤途中に会えただけでも大いにうれしく幸せだった。職場に着くなり、妻に自慢のLINEをしたほどだ。なんて単純なんだろう。なんてジジバカなんだろう。さすがに「うちの孫が一番かわいい」Tシャツを買う気はもう失せてはいるのだが。


