初回入院時、なにが一番つらかったかというと、術後、麻酔から覚めた時のこと。
頭痛い。気持ち悪い。頭痛い。気持ち悪い。ほとんど夜まで。それはもう消耗した。
同じ手術を受けた3ヶ月後、今度はあっけなくけろりと目覚めた。
あちこち管がつながってほとんど身動きできないながらも、
平気でLINEなどして相手を驚かせたりしたものだ。相手というのはマダムだが。
思うに、麻酔の適量というのは個人差が大きく、初回ではわかりにくいのだろう。
ところで、同じ手術をなんでまた受けたのかというと、それはアナタ、
癌の再発が疑われたからですよ。語尾が統一できてませんが。
初回手術後、再発防止のため局部にBCG注入という治療のことは前にも書いた。
週に1度、6回にわたって行われたそれは、BCGを膀胱にためたまま1時間を過ごす。
人によっては副作用があり、まずこの1時間が我慢できない。排尿時に恐ろしく痛みを伴う。
熱が出る。その他もっと怖いこと。まぁ、いろいろあるそうだ。
幸いなことに、ぼくにはなんの副作用もなく、
院内の喫茶スペースで読書などして過ごすその1時間が、実はけっこう好きだった。
病院によってはそれが2時間だったり、排尿も自宅でOKだったりするそうだ。
ぼくはきっちり1時間後に所定のトイレで用を足し、午後から出勤したりした。
そんな治療のしばらく後に、さて検査。再発してるかしてないか。
膀胱鏡で映し出された画像を見ながら、ちょっとうれしそうに先生はこう言った。
「うーん。これが癌か癌でないかは疑わしい。疑わしいモノは取っちゃいましょう」
うーん、先生、オペ好きでしょ?
こうしてぼくの2度めの入院・手術が決まったのだった。