松原正樹にさよならを

松原正樹の訃報にショックを受けている。
ここ一連のデヴィッド・ボウイやグレン・フライなどよりずっと。
グレン・フライは観たことないし、豆粒ほどのボウイを観たのは30年近く前。
そこへいくと、松原正樹は昨夏観たばかりだったりする。しかも、隣には今剛。

この時にはしかし、すでに十二指腸癌であることはわかっており、6月に開腹手術を受けたものの転移が見られ、手の施しようがなかったのだとか。
で、ぼくが観た8月の「風街レジェンド」だ。
そういえば動きが少なかったとか、にこりともしなかったとか、今にして思う。

デビュー時からパラシュートを気にかけていたのは、今剛がいたからだ。
他に林立夫、斉藤ノブ、小林泉美の名も知っていたが、松原正樹は知らなかった。
注目したのは、キーボードが小林泉美から井上鑑に代わったセカンド・アルバム。
その1曲め、ダントツに格好いい「HERCULES」の作曲者としてだった。

それにしても、61歳は若すぎる。
癌であることを知った時にはすでに手遅れというのも酷だ。
早期に発見できさえすれば癌はそんなに怖い病気ではないと、ぼくは身をもって知ったつもりになっていたが、それは部位によるところも大きい。
抗癌剤とも放射線とも無縁のぼくなどは癌のうちに入らないのかとさえ思う。
少なくとも、大きな顔で癌を語ってはいかんと思う。

ただ、同じ病気の人を励ますことはうんとする。
同じ病に倒れた人を悼むこともうんとする。
元気な人に対しては、そうならないための啓蒙をうんとする。
そして、ここ数日は松原正樹の冥福をうんと祈り続けている。