遊び人と失業者のはざま

仕事を辞めて以来、まるで遊び人のような生活を続けていることを前回書いたが、実はたびたびハローワークに顔を出していたりもする。
新たな仕事を探すためではない。失業手当を受給するためである。

なんてことを言ってはいけない。
なんとなれば、失業手当というのは働く意志がある者に支給されるのであるから。
そうとも、ぼくは新しい仕事を探しに行っている。
ただ、まぁ、なにがなんでも今すぐ見つけようと強く思ってはいない。かもしれない。

そもそも失業の定義とはこうであるらしい。
就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にあること。
さらに、こういう状態にある時は給付を受けることはできないとわざわざ書いてある。
いわく、定年などで退職して、しばらく休養しようと思っている時。

そうとも、ぼくは休養しようとも遊んでいようとも思っていない。結果、そのように見えているだけであって、そのようにうそぶいているだけである。何度も言うが、実は仕事を探している。ひと儲けしようと思っている。マダムに楽させたいと思っている。なにより自分が贅沢したいと思っている。探している。仕事を。

ただ、ぼくのような者ができる仕事はというと、多くの場合その報酬は失業手当に及ばなかったりする。どんだけ安いんだシニアの給料。というか、どんだけたくさんもらえるんだ失業手当。こんなじゃなかなか見つかりませんぜ、いい仕事。

というわけで、離職後初のハローワーク。
ここではいろいろ面倒な手続きを経て、受給資格者であることを認めてもらう。本来なら後日、2時間ばかりの雇用保険受給者初回説明会というのがあるらしいのだが、コロナのこんな時期だ、各自40分の説明動画を見ることでよしとされる。ラッキーというかなんつうか。これで初回の「求職活動実績」はとりあえず達成だ。

求職活動実績。
これがなかなかの曲者で、初回は1度でいいものの、以後は4週間に2回これをクリアしないといけないという。自己都合退職者だとさらに厳しいのだとか。
なにをもって求職活動実績かというと、それは求人への応募だったり、ハローワークで職業相談をすることだったり、そこで行われる各種セミナーの受講だったりするわけだ。それで判子を押してもらってはじめて活動実績になるという。単に求人情報を眺めているだけではだめなのだ。

面倒臭くないか、これ。4週間に2回するんだで。その上で、さらに認定日というのにハローワークまで出向いて認めてもらわないといかんのだで。こんな面倒なことをしなくちゃなんないのなら失業手当なんかいらんわという人がいても不思議じゃない。いるんじゃないかと思う。ただ、ぼかぁそれでもくれるというものはもらいたい。正当な、会社都合の、コロナ禍での失業者ですもの。

そんな失業手当、額も支給期間も人それぞれなのだが、ぼくの場合だとこの秋、年金が満額支給されるまで出るらしい。えー、いいんですか、そんな長期で。つうか、ぼくぐらいの歳だとそんなものなのか。歳の近い先輩がいないのでわからない。元サラリーマンの先達もいないのでわからない。ただ、下の世代になるほど恵まれないだろうことはわかる。ローンは60までに終えておこうな。

長らく自分のことをキリギリス寄りだと思っていたけれど、実はけっこうアリだったかもと思う今日この頃であります。