鎌倉土産といえば、豊島屋の鳩サブレと並んで大本命なのがこれ。鎌倉紅谷のクルミッ子。もちろん鎌倉まで行かずとも買うことはできるのだが、豊島屋ほどには店舗も多くなく、入手困難な人もいるのだとか。
しかるに、うちの近所のスーパーにはなぜか置いてあったりする。大いに謎だし、希有な例にはちがいなかろう。歩いて行ける。ついでに買える。ただし、やはり人気商品なのでいつでも買えるというわけにはいかないが。
そんな人気菓子、クルミッ子のクリスマス限定パッケージを手に入れたいと思ったのだ。他でもない、息子の嫁のために。独身時代、彼女はクルミッ子を買うために渋谷まで行っていたそうだ。それが近所のスーパーで買えることに、この街に嫁いで来て大いに驚いていたという。そんな嫁を、クリスマス限定パッケージで少しく喜ばせたい義父心。世間的にそんな心が認知されているのかどうかは知らん。
そういえば、耐熱ビーカー入りでおなじみのマーロウのプリンも、ほとんど彼女のために買ってきた。ただのプリンなら出かけた先でいつでも買えるのだが、大船店のご当地バージョン、モノレールと観音様が描かれた品を手に入れるには、1時間以上並ばねばならなかった。自分の用事では20分と並んでいられないこのぼくが。
というわけで、クルミッ子のクリスマス限定パッケージ。限定というだけあって、さすがにこれは近所のスーパーでというわけにはいかない。直営店でだけ買える。ちょうど紅葉を見に今年は鎌倉にでも行こうじゃないかとマダムと話していた折りだったので、そのついでに八幡宮前本店に寄ることにした。
平日の鎌倉は小町通り以外は空いていて、こんなにも人のいない段葛を見たのは初めてだった。それですっかり安心してしまった。買えないわけがなかろうと。ところがだ。あにはからんや。漢字で書くと豈図らんや。よもやよもやの世界である。まだ午前中だというのに、本店だというのに、すでに限定パッケージは品切れだった。どんな商売してんだよ、紅谷。
こんな目に遭ってしまうと、かえって意地になるというものだ。本店はさすがに遠いので、テラスモール湘南店でリベンジだ。開店前から並んでやる。ついでに切り落としも買ってやる。この切り落としを買うためには整理券が必要で、それは10時開店に先立ち9時に配布される。販売数は60とも80ともいわれ、ひとりにつき3袋まで買えるので、並ぶにしても20番目ぐらいはキープしたい。
15分前に着いたらまだ4、5人しか並んでいなかった。そんな情報を真に受けたぼくが、その日到着したのは8時50分。早くも30人ぐらい並んでいる。おいおい、大丈夫か。話ちゃうやん。ぼくの前で整理券なくなるんちゃうか。思う間もなく、後ろにも続々人が並び始める。
そんなドキドキの10分間が終わってみると、整理券を手に入れることができたのはぼくの後ろ数名までだった。うーん。100枚ぐらいあるんじゃないのか、整理券。まー、不安にかられたくない人は8時半から並ぶとよいでしょう。もはや他人事。
整理券さえあれば切り落としはいつでも買えるのだが、そうはいかないのが限定品。今度は通常品を買うための行列。こちらはきっちり10時の開店まで待たねばならない。であるのに、たちまち長蛇。あー、これは昼頃のこのこ行ったって品切れになってるはずだわ。いつ見ても「完売しました」の張り紙があるこの店、午後はなんのために開けているんだろうと常々疑問に思っていたのだ。
店員さんには早番と遅番があったりするのだろうか。遅番の人は暇だろうなぁ。時給は同じなんだろうか。だとしたら早番の人はやってられんなぁ。いらぬ心配までしてしまうのである。