ロマンスの生き証人

今年2本目の映画は、トーキング・ヘッズとどちらにしようかしばし悩んで「哀れなるものたち」。感想はというと、そうさなぁ、絵はとてもきれいでした。全然つまらなくはなかったです。退屈はしませんでした。と、ここまではていねい語。

でも、面白かったかといえばそれほどでもなく、誰かが書いていたように可笑しくなんて全然なく。どこが抱腹絶倒やねん。ただ、娼館のマダムはナイナイの岡村のようではあり。ま、他人に薦めることもないなと思いつつ映画館を後に。その日のうちに映画好きの後輩にラインした「RRR]の時とはえらいちがい。

印象的だったのは、エンドロール時の曲。いや、曲というより、音楽というか、音? これに比べたらフロイドの「エコーズ」中間部のなんと聴きやすいことだろうと思ったさ。「アランのサイケデリック・ブレックファースト」の方がずっと親切だったというか。

あまり通じない気がしてきたので、もう少し一般的な話をば。
沢田研二が好きだという同僚女性に好きな曲を訊かれたので答えたところ、へぇえ、ほとんどみんな「時の過ぎゆくままに」っていうんだけどねと珍しがられた。ぼくは「カサブランカ・ダンディ」を挙げたのだった。今となってはコンプライアンス違反な歌詞はさておき、格好いいですやん、イントロのリフ。好っきやわぁ。

沢田研二がらみでもうひとつ。
タイガース時代の「シーサイド・バウンド」の「踊りに行こう」を、ぼくは「大通りに行こう」と聞きちがえていた。通りの先に海があるんだと思ってた。海岸通りとかいうし。そうとも、ぼくは芦屋住まいの10歳だった。

さらにひとつ。
81年に再結成されたタイガースの「10年ロマンス」が大好きだ。
10年どころか、50年ロマンスだって知っている。
そしてまた知っている。実感しすぎて泣いている。
もう誰もあそこにはいないことを。